複数キャラクター LoRA 生成ガイド:2 人以上のキャラを 1 枚に描く方法
PixAI で複数キャラクター LoRA を組み合わせる方法を、SDXL の対処法から Tsubaki.2 の自然言語プロンプトまで実例で解説します。
⚡ 結論から
先に結論をお伝えすると、複数キャラクター生成は可能な限り Tsubaki.2 を選ぶのが近道です。DiT アーキテクチャは 2 人以上のキャラクター構図において、SDXL より「特徴の混ざり」が圧倒的に少なく、リージョナルプロンプトのような細かい対処も不要です。一方、どうしても SDXL を使う場合は、right: / left: のリージョナル構文と LoRA ウェイト 0.65 前後の組み合わせが現実的な解になります。
本記事は PixAI LoRA シリーズ Part 4 です。LoRA そのものが初めての方は、まず Part 1 — LoRA とは? からお読みください。
📚 LoRA 完全シリーズ
複数キャラクター LoRA はなぜ難しいのか
単一キャラクターの LoRA は、現時点ではかなり安定して扱える領域に入りました。ベースモデルを選び、マーケットプレイスで LoRA を探し、トリガーワードをプロンプトに加えて生成する。それで完結します。
ところが、2 人のキャラを 1 枚に描く場面は別物です。単に「2 人を同じシーンに配置する」というだけでなく、2 つの異なるアイデンティティを混ざらせずに維持する必要があり、しかも 2 つのキャラクター LoRA が同時にラテント空間を引っ張り合います。その結果、次の 3 つのいずれかの破綻パターンに陥ります。
特徴の混ざり
髪色が入れ替わる。瞳の色が混ざる。一方のキャラが、もう一方の服を着てしまう。象徴的なアクセサリーが消える。
片方の LoRA が支配する
2 人とも同じキャラに見える。「強い」方の LoRA が勝ち、もう一方は読み込まれていないかのように消える。
人数がずれる
2 人を指定したのに 3 人出てくる。あるいは 1 人になる。人数指定タグが静かに上書きされてしまう。
幸いなことに、それぞれに対処法があります。そして対処法の半分以上は、どのベースモデルから始めるかで決まります。まずそこから見ていきましょう。
モデル選びがすべてを決める:DiT が SDXL を上回る理由
プロンプトの工夫を始める前に、ベースモデルが上限を決めます。複数キャラクター生成では、この選択が最も大きな差を生みます。
具体的に確かめるため、同じシーンを 3 つのアプローチで生成しました。崩壊:スターレイルの 2 人 — イブニング (Evernight) と三月なのか (March 7th) — が、晴れた街角で週末の予定を相談している場面です。学生服、明るい雰囲気、両キャラクターの原作通りの特徴が残っているべき条件。結果は次の通りでした。
3 枚の比較から見えること
アプローチ A(SDXL 素のまま)は 2 人が見分けがつかない状態になりました。イブニングの赤い瞳、黒い手袋、クエスチョンマーク型のイヤリング、白いコートテール — これらすべてが消えています。2 つのキャラクター LoRA が争い合い、三月なのかの学習が支配的になった結果、「学生服の三月なのかが 2 人」という出力になっています。これが、2 つのキャラクター LoRA を素のままロードして普通のプロンプトを書いた場合の典型例です。
アプローチ B(SDXL + リージョナルプロンプト + ウェイト調整)は明確に改善しました。right: / left: の構文を使い、LoRA ウェイトを 0.65 まで下げると、片方のキャラクターが明らかに別人として現れ始めます。服装の重なりも増えました。ただし髪色がまだ完全には正確でなく、特徴の混ざりも残ります。これが SDXL の現実的な上限です。
アプローチ C(Tsubaki.2 DiT)は、明らかに別カテゴリの出力です。イブニングの赤い瞳が再現されています。黒い髪飾りも残っています。三月なのかの青い瞳もそのまま。2 人は別人として描かれ、自然なやり取りをしています。しかも right: / left: は使わず、自然言語で描写しただけです。
「DiT アーキテクチャは複数キャラクター構図をモデルレベルで解決します。SDXL で必要だった回避策の多くが不要になります。」
それでも SDXL を使う場面
比較を見たうえで SDXL に留まる正当な理由が 1 つあります — キャラクター LoRA の数とバリエーションです。SDXL エコシステムは長く存在してきた分、特にニッチなゲームやアニメのキャラクター LoRA は、Illustrious、NoobAI、その他 SDXL 系のベースで学習されたものが圧倒的に多いのが現状です。狙っているキャラの LoRA が SDXL 版しかない場合、そのスタックを選ぶことになります。
この記事ではどちらのルートもカバーします — セクション 3 で SDXL のリージョナルプロンプト、セクション 5 でよりシンプルな DiT ワークフロー。お使いのキャラクター LoRA がどちらに存在するかで使い分けてください。
📖 PixAI のモデルラインナップと使い分けについて詳しくは、Tsubaki.2 完全ガイドをご覧ください。
リージョナルプロンプト + LoRA の構成式(SDXL ルート)
SDXL を使う場合、リージョナルプロンプトが最も信頼できる手法です。考え方はシンプルで、キャンバスを名前付きの領域に分け、それぞれの領域内でのみキャラクターを描写します。これによって、モデルは各キャラクターの描写を対応する領域だけに適用するようになり、特徴の混ざりが大幅に減ります。
この基本構文は、もともと PixAI コミュニティクリエイター ATone 氏が BL/やおい作品向けに整理したもので、フルバージョンは BL/やおい作品のプロンプトガイド でご確認いただけます。以下では、それを複数キャラクター LoRA 生成向けに調整した形をご紹介します。
基本構造
— 複数キャラクター LoRA プロンプトテンプレート —
# グローバルブロック — 画像全体に適用
2girls, [シーン記述], [キャラ A] at right, [キャラ B] at left,
<lora:character_A_lora:0.65>, <lora:character_B_lora:0.65>
# 右側領域 — キャラ A のみ
right: [キャラ A のトリガーワード], [A の特徴], [A の動作]
# 左側領域 — キャラ B のみ
left: [キャラ B のトリガーワード], [B の特徴], [B の動作]
単一 LoRA 運用との 3 つの違い
LoRA ウェイトを 1.0 → 0.6〜0.7 に下げる
2 つのキャラクター LoRA が同時にフル強度だと、ラテント空間で競合して片方が消えてしまいます。両方のウェイトを下げて、共存できる余地を作るのが基本です。まず 0.65 で試し、必要に応じて ±0.05 で調整してください。ウェイトの仕組みは Part 2 — LoRA ウェイト設定 で詳しく解説しています。
トリガーワードは対応する領域ブロックの中に置く
2 つのキャラクターのトリガーをグローバルプロンプトにまとめて置かないこと — それだと両方の LoRA が全領域に効いてしまいます。各トリガーを片側にひもづけます。トリガーワードの配置については Part 3 — トリガーワードガイド をご覧ください。
グローバルブロックで位置を先に宣言する
領域ブロックの前に、誰がどちら側にいるかをモデルに伝えます:Acheron at right, Bronya at left。これによって空間構図が先にセットされ、後の領域指定が安定します。このステップを省くと、領域指定の効きが弱くなります。
プロのコツ — ネガティブプロンプトの重みが増します
ネガティブプロンプトに feature mixing, features bleeding between characters, mixed hair colors, swapped outfits を追加してください。これらは、よくある混ざりパターンを避けるようモデルに明示的に指示する役目を果たします。
実例:2 つのキャラクター LoRA を 1 枚に共存させる
セクション 2 のアプローチ B を出力した実際のプロンプトを、ブロックごとに分けて見ていきます — イブニングと三月なのかがスマートフォンを見ながら街角で話している場面です。
なぜこの書き方が効くのか — 行ごとに解説
グローバルブロックでシーン・位置・LoRA を一度に設定
人数(2girls)、共有する動作、背景、ライティング — そして特に重要なのが位置宣言(Evernight at right, March 7th at left)。これが後続のリージョナル指定を有効にする土台になります。
2 つの LoRA を 0.65 — 1.0 ではない
それぞれ 1.0 だとラテントの主導権争いになります。0.65 なら両方が自分の学習を発揮できる余地を確保できます。数回試した後でも片方が「弱い」と感じたら、その LoRA だけ 0.7 に上げて、もう一方を 0.6 に下げてバランスを取ります。
右領域でイブニングのアイデンティティを固定
トリガーワード(Evernight (Honkai: Star Rail))は、このブロックの中だけに置きます。象徴的な特徴(赤い瞳、黒い手袋、クエスチョンマークのイヤリング)を視覚的なアンカーとして添えることで、LoRA が学習通りの出力をしやすくなります。
左領域で三月なのかを反対側にとどめる
同じ論理を反対側にも適用します。彼女のトリガーは左ブロックの中だけ。視覚的な記述(青い瞳、細身、明るい表情)もこの領域に閉じます。これでイブニングの領域に侵食する余地を消します。
DiT ルート:自然言語がリージョナル構文を置き換える
Tsubaki.2 を使う場合、ワークフローは大きく変わります — そしてかなりシンプルになります。right: / left: 構文は不要。ウェイトのバランス調整も不要。多くの場合、キャラクター LoRA そのものも不要です(Tsubaki.2 は人気キャラの多くを自然言語で認識できます)。
セクション 2 のアプローチ C を生み出したプロンプトを見てみましょう — 同じシーン、同じキャラクター、まったく違う書き方です。
SDXL と異なる 3 つの書き方
タグの列挙ではなく、説明文を書く
Tsubaki.2 は自然言語で学習されています。「赤い瞳で黒いスカートを履いた少女」が 1girl, red eyes, black skirt より良い結果を出します。
「On the right / On the left」を本文で表現
空間配置を自然言語の一部として書きます。right: / left: 構文は不要 — DiT は文中の位置表現を理解します。
キャラクター LoRA を省ける場面が多い
Tsubaki.2 は人気のあるゲーム・アニメキャラを自然言語から認識できます。まずは LoRA なしで試して、精度が足りない場合だけ追加するのが効率的です。
プロのコツ — Prompt Helper を有効にする
PixAI の Prompt Helper は、入力したプロンプトを Tsubaki.2 に最適化された形に自動再構成します。生成後、Generation Task パネルで「どう書き換えられたか」を確認できます — DiT が好む自然言語の構造を最短で学べる方法です。
キャラクター LoRA 重ね運用でハマる 4 つの落とし穴
モデルと構造を正しく選んでも、複数キャラクター生成では単一キャラ運用では出てこない問題が現れます。よく遭遇する 4 つを、対処法とセットでご紹介します。
落とし穴 01
「2 人目のキャラが消えた」
症状:主導的なキャラの方が 2 人になり、もう一つの LoRA が無視される。
対処:両方のウェイトを 0.6 まで下げ、弱い方を 0.7 に上げる。消えていたキャラの領域ブロックに、より強い視覚的なアンカー(象徴的な衣装、特徴的なアクセサリー)を追加する。
落とし穴 02
「3 人出てきた、2 人指定したのに」
症状:人数タグが上書きされる。「余分なボディ」現象とも呼ばれます。
対処:プロンプトで 2girls を強化し、ネガティブに 3girls, multiple girls, crowd を追加。SDXL でこの現象が続く場合、LoRA 自体が複数キャラのデータで過学習されている可能性があります — 別の LoRA を試すと改善することがあります。
落とし穴 03
「両方とも女性になる/若く描かれる」
症状:SDXL の学習バイアスが片方のプロンプトを押し切ります。
対処:強い指示(2boys や male focus, tall male)と積極的なネガティブ(1girl, feminine, female)を組み合わせる。大人のキャラを描きたい場合は mature, adult を加え、child, young をネガティブに。
落とし穴 04
「絡みが不自然・棒立ち」
症状:キャラ分離はきれいだが、絡みのない単なる「並んだだけ」の構図になる。
対処:グローバルブロックに明示的なインタラクションタグを追加:looking at each other, eye contact, holding hands, sharing a phone。DiT では自然言語で動作を描写します:「腕を組んで歩く」「友達にスマホ画面を見せている」など。
📖 キャラクター LoRA 以外の重ね運用(スタイル LoRA との組み合わせなど)については、LoRA スタッキングガイド(PixAI Mastery Part 3) をご覧ください。
3 人以上を描きたいとき
現状、2 人が信頼できる上限です。3 人以上になると Tsubaki.2 でも目立つレベルの混ざりが発生し始め、SDXL のリージョナル指定はかなり早い段階で破綻します。
どうしても 3 人のシーンが必要な場合、現実的な選択肢を効果順にご紹介します。
まず Tsubaki.2 で試し、ある程度の混ざりを許容する
3 人構図でも、Tsubaki.2 が現時点で最良の選択です。1 人だけ特徴が薄れる程度の混ざりは出るかもしれませんが、軽い手直しを加えれば公開できるレベルになることがほとんどです。
キャラごとに別々に生成して、後で合成する
各キャラを透明背景またはシンプルな背景で別々に生成し、共通シーンに合成する方法です。PixAI Edit Pro や外部ソフトを使います。手間は増えますが、一貫性は格段に上がります。
Reference Pro で 3 人目を追加する
まず 2 人を一緒に生成し、その後 Reference Pro を使って自然言語で 3 人目を既存のシーンに追加します。先の 2 人の特徴を維持しながら、新しいキャラクターを加える書き方ができます。
「合成を使うことは妥協ではありません。コミュニティでも最も完成度の高い複数キャラ作品の多くは、AI で大枠を作り、AI が苦手な部分を手作業で補う形を取っています。」
この記事のまとめ
複数キャラクター生成のチートシート
✓ Tsubaki.2(DiT)が複数キャラ生成で最もスムーズ
✓ SDXL では right:/left: 領域ブロック + ウェイト 0.65
✓ 各キャラのトリガーワードは対応する領域ブロックの中だけに置く
✓ 混ざり関連のキーワードをネガティブプロンプトに明示
✓ 3 人以上:多少の混ざりを許容するか、手作業で合成する
よくある質問
3 つ以上のキャラクター LoRA を同時に使えますか?
技術的には可能です — PixAI は複数の LoRA スロットを許可しています。ただし実用的には、2 つを超えるとクオリティが急激に落ちます。3 つのキャラクター LoRA を 1 枚に重ねると、Tsubaki.2 でも目に見える混ざりがほぼ必ず発生します。3 人以上を描きたい場合は、セクション 7 の手作業による合成のほうが安定した結果につながります。
なぜ単一キャラのときは下げないウェイトを、複数キャラだと下げるのですか?
キャラクター LoRA をウェイト 1.0 で使うと、画像全体にそのキャラの特徴を「強制」するレベルでラテント空間が支配されます。2 つの LoRA が両方とも 1.0 だと、この強制が衝突し、強い方が勝ちます。両方を 0.65 前後に下げることで、それぞれが局所的に効きながら、全体を支配しない状態を作れます。理論の詳細は Part 2 — LoRA ウェイト設定 をご覧ください。
Tsubaki.2 で SDXL 用に学習されたキャラクター LoRA は使えますか?
使えません。LoRA はベースモデル固有です。Illustrious で学習された LoRA は Tsubaki.2 では正しく動作せず、その逆も同じです。目的のキャラに SDXL 版しかない場合の選択肢は次の 3 つです:(a) SDXL + リージョナルプロンプトで運用する、(b) Tsubaki.2 が自然言語の記述だけで描けないか試す(人気キャラなら高い確率で可能)、(c) DiT 版の LoRA を自作する — 詳しくは DiT LoRA 学習ガイド をご覧ください。
2 人のキャラが似ている設定(姉妹やクローン)の場合はどうしますか?
直感に反するかもしれませんが、これは難易度が上がります。キャラ間の視覚的なコントラストが少ないほど、モデルが 2 人を混ぜやすくなるためです。髪色や衣装が共通する場合は、それ以外の差別化要素を強調します — 表情、アクセサリー、ポーズ、髪型などの違いを明示的にプロンプトに含めるのが効果的です:「髪を長く伸ばした姉、ツインテールの妹」のように。
複数キャラ生成は何回くらい試行するのが目安ですか?
単一キャラの場合より多くなります。1 つのシーンにつき 4〜8 回の生成を見ておくのが現実的です。シードやプロンプトを微調整しながら回します。最初の 1 回でうまくいくケースはほぼありません。初回の出力は「どこを直すべきか」を見るためのデバッグ素材と考え、結果を見て調整するアプローチをおすすめします。
LoRA を深く学ぶ
複数キャラクター生成を実際に試してみる
PixAI で Tsubaki.2 を開き、本記事の 2 人キャラクター用プロンプトを入力するだけで、違いをご自分の目で確認できます。複数のシードで複数キャラ生成を試せる無料クレジットも、毎日付与されます。
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